番外地映画劇場

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ポセイドンアドベンチャー 1972年  同時上映 最後の猿の惑星 <後編>【番外地国際】

番外地国際 1

2020.1.10

ポセイドンアドベンチャー 1972年 ネタばれありです。

 同時上映 最後の猿の惑星 <後編>

 本題のポセイドンアドベンチャーですが、パニック映画の決定版です。しかも、エンターテイメント作品であり、感動作です。特撮、セットのスペクタルと人間ドラマが上手くできている映画は、これが一番だと思います。同時期に作られた、同じプロヂューサーであるアーウィン・アレンの「タワーリング・インフェルノ」もいいですが、やはり本作の方が良いです。子供ながら、当時、再放送していたアーウィン・アレン製作のテレビシリーズ「原子力潜水艦シュービュー号」を見ていました。また、公開前に、豪華客船ポセイドン号が転覆し、天井と床が逆転したパーティーの大ホールセットの撮影シーンを、テレビで放送していました。スタントマンの落下シーンが凄かった印象があります。ストーリーと映像が、ネタばれ状態でしたが、是非、見たいと思っていました。

 実際、見始めると、特撮、スペクタル、スタントは当然、すごいのですが、生きるか死ぬかの選択の連続です。生き残ったメンバーも老若男女、性格も強気の者、弱気の者、危機的状況のなかでやさしさを失わない人など人物設定もうまいです。

 それまで、自分の中では、映画の主役はハンサムでかっこいいという思い込みがあったのですが、ジーン・ハックマンとアーネスト・ボーグ・ナインのブオトコ(ホメ言葉です。いまならブサメンとでもいいますか?)のおっさん二人が、脱出方法や主導権争いで、いがみ合います。シーン・ハックマンは自分の主義を主張しすぎ、左遷された牧師で渡航中という設定です。アーネスト・ボーグ・ナインは刑事なのに、元娼婦が結婚相手で、客船で旅行中というありえないような設定ですが、最後に本当に愛妻家だったわかる泣かせるセリフがあります。アーネスト・ボーグ・ナインは、「北国の帝王」で、無賃乗車をする放浪者役のもっとブオトコ(ホメ言葉です。)のリー・マービンと殺し合いのような喧嘩する鬼車掌役をやっています。こういう、男同士のもめる役をやらせると、狂気をはらんだニヤニヤ顔がうまく、替わりの役者がいません。主役のジーン・ハックマンも負けそうです。

 また、太っていて脱出の足手まといに見えていたおばあさんのシェリー・ウインタースのエピソードは、意外であると同時に感動しました。

 大人が見る映画を、あまり見ていなかった自分が、一番、驚きたのは、結末です。一番、苦しみ、犠牲を伴いながらも、皆を引き連れてきた主役が、最後に助かりハッピーエンドと勝手に予定調和を想像していました。しかし、牧師が神に抗議しながら、犠牲となり、皆を助けるシーンは、今までこういう映画を見たことがなかったので、驚きましたが、感動しました。神頼みだけでは、助からず、自力で道を切り開いても、思うようにはならないという、重いメッセージを見せつけられたような気がしました。

 その時は、豪華客船の船名のポセイドンが神を意味していることは知りませんでした。

 その後、テレビ放送も当然、見ましたが、その時のキャンペーンのクイズが、

「最後の生存者は何人でしょう?」というもので、子供ながら、感動をぶち壊しにする、不謹慎な企画だなと思いました。

 同様の映画で、「タイタニック」もありますが、世間の高評価と比較し、自分にとってそれほど感動しないのは、本作の影響があるかもしれません。

 ジェームズ・キャメロンの「エイリアン2」を見たとき、スペースコロニー生存者の少女の誘導で主人公と海兵隊が脱出するあたり、ポセイドン号の構造に詳しい少年の設定の影響を受けたのかなと感じたました。

 いろいろ調べたり、思い出しながら、この原稿を書いていているのですが、「最後の猿の惑星」の猿を演じていたロディ・マクドウォールは、「ポセイドンアドベンチャー」の船員のボーイとして出演していたことに気づきました。しかし、猿の特殊メイクと素顔の出演で、映画の知識もなかったので、全然、意識していませんでした。不思議なところでつながっていた、二本立てでした。(敬称絡)